この特集でわかること
不動産の評価や測量実務に役立つ用途地域・地価公示・都市計画区域・求積表インポート・AI物件調査など、OH3で利用できる土地評価関連の機能を解説します。データの出典や制度的背景も含め、なぜそのデータが存在し、どう活用できるのかを理解できます。
用途地域は都市計画法に基づいて市町村が指定する土地利用の規制区分です。住居系・商業系・工業系の13種類があり、それぞれで建てられる建物の種類や建ぺい率・容積率が異なります。不動産評価の最も基本的な情報と言えます。
データの旅路
市町村が都市計画決定
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都道府県が承認
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国土交通省が「都市計画決定GISデータ」として整備
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不動産情報ライブラリAPIで配信
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OH3が地図上に表示
13種類の用途地域
第1種低層住居専用
第2種低層住居専用
第1種中高層住居専用
第2種中高層住居専用
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
用途地域を知ることで、その土地にどんな建物が建てられるか(住宅のみ?店舗OK?工場OK?)、どれくらいの大きさの建物が建てられるか(建ぺい率・容積率)がわかります。不動産の価値や開発可能性を判断する際の第一歩です。
データソース:不動産情報ライブラリ
OH3の用途地域レイヤーは、国土交通省が運営する不動産情報ライブラリのAPIからリアルタイムで取得しています。都市計画の変更があれば自動的に反映されるため、常に最新のデータを確認できます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → 都市計画等 → 用途地域
ポリゴンをクリックすると、用途地域名・建ぺい率・容積率などの詳細が表示されます。
土地の価格を知るための2つの公的指標があります。地価公示は国土交通省が毎年1月1日時点で評価する「公示価格」、都道府県地価調査は都道府県が毎年7月1日時点で評価する「基準地価格」です。両者を組み合わせることで、半年ごとの地価動向を把握できます。
データの旅路(地価公示)
不動産鑑定士が標準地を評価
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国土交通省 土地鑑定委員会が審査
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毎年3月下旬に公示
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不動産情報ライブラリで配信
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OH3が地図上に表示
地価公示・地価調査は「正常な価格」を示すものです。実際の取引価格とは異なる場合がありますが、土地の相場を客観的に把握するための基準として、不動産評価・相続税評価・固定資産税評価などに広く活用されています。
OH3独自の機能:地価推移グラフ
地価公示ポイントをクリックすると、過去数年間の価格推移をグラフで確認できます。地価が上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのか、地域の経済動向を視覚的に把握できます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → 土地情報 → 地価公示 / 都道府県地価調査
ポイントをクリックすると、所在地・価格(円/m²)・用途地域・推移グラフが表示されます。
都市計画区域は計画的な市街地形成が必要な区域として都道府県が指定するエリアです。さらに、都市計画区域内は市街化区域(積極的に市街化を進める区域)と市街化調整区域(市街化を抑制する区域)に区分されます。この区分は土地利用の可否を大きく左右します。
市街化調整区域では原則として開発行為や建築が制限されます。農家住宅や既存集落内の建築など、例外的に許可される場合もありますが、土地を購入する前に必ず確認が必要です。
調整区域の土地は要注意
市街化調整区域の土地は価格が安い場合がありますが、建物が建てられない可能性があります。OH3で都市計画区域を確認し、調整区域に該当する場合は市町村の都市計画課に相談してから購入を検討してください。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → 都市計画等 → 都市計画区域
市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域が色分けで表示されます。
農業振興地域制度は、優良農地を確保し農業の健全な発展を図るための制度です。農振地域内の土地は、さらに「農用地区域」(青地)と「農用地区域外」(白地)に分類され、農地転用の可否が大きく異なります。
青地(農用地区域)は「今後とも農業上の利用を確保すべき土地」として市町村が指定しています。宅地や駐車場に転用するには、まず農用地区域からの除外手続きが必要で、これには厳格な要件があり、認められないことも多くあります。
OH3には農振地域の専用レイヤーがありません
農振地域の指定は市町村ごとに「農業振興地域整備計画」で定められており、データ形式が統一されていないため、全国統一のレイヤーは提供していません。各市町村の農業委員会または農政課に問い合わせて確認してください。
農地の概況を把握する代替手段
OH3では以下のレイヤーを組み合わせることで、農地の概況を把握できます。
- 航空写真 — 実際の土地利用状況を目視確認
- 都市計画区域 — 市街化調整区域は農地が多い
- 筆ポリゴン — 農林水産省の農地区画データで田・畑の分布を確認
- 用途地域 — 用途地域が指定されていなければ都市計画区域外の可能性
農地転用を検討する場合
農地を宅地などに転用する場合は、まず市町村の農業委員会に相談してください。青地・白地の確認、転用の可否、必要な手続きについて教えてもらえます。行政書士に依頼する前に、まず農業委員会で基礎情報を得ることをお勧めします。
OH3の求積表インポート機能は、紙の地積測量図や求積表をAI-OCRで読み取り、座標値を自動認識して地図上にポリゴンとして配置する機能です。測量実務で活用できる、業界でも珍しい機能です。
求積表インポートの流れ
地積測量図を撮影 / PDFを読み込み
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AI-OCRが座標値を自動認識
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座標系を選択(第1系〜第19系)
→
面積検算(Shoelace法)
→
地図上にポリゴン表示
測量実務者のための機能
この機能は測量実務を念頭に設計されています。
- 公共座標系対応 — 日本の平面直角座標系(第1系〜第19系)すべてに対応
- SIMA形式出力 — 測量業界標準のSIMA形式でドロー機能に取り込み可能
- 面積検算 — 座標法(Shoelace公式)で倍面積を自動計算、誤差をハイライト表示
- 複数筆一括 — 1つの書類から複数の区画を同時に取り込み
- 誤認識補正 — AI-OCRの誤認識を手動で修正可能
AI-OCRの認識結果は色分けで品質を表示します。赤色は統計的外れ値(座標値が異常)、黄色は倍面積の不一致、緑色はユーザーが手動修正済みの箇所です。これにより、誤認識を見逃さずに修正できます。
出力形式
- SIMA形式 — 測量CADソフトとの連携
- GeoJSON — 他のGISソフトとの連携
- KML — Google Earthでの表示
- DXF — CADソフトでの利用
- CSV — 座標値の一覧表出力
2025登記所地図は、法務省が公開する登記所備付地図データをOH3で閲覧・分析・エクスポートできる機能です。全国の土地の区画(筆)の境界線・地番・精度区分が含まれ、不動産登記や筆界調査の基礎資料として活用できます。
データの旅路
法務省が登記所備付地図を公開
→
OH3がPMTiles形式に変換
→
ブラウザで高速表示
→
SIMA/DXF等でエクスポート
精度区分(甲一〜乙三)
登記所地図は測量精度によって6段階に分類されます。OH3では区画ごとに色分け表示します。
測量実務者のための機能
- SIMA出力 — 測量CADソフトとの連携(座標系選択対応)
- DXF出力 — 2D CAD用・3D測量用(公共座標系第1〜19系)
- 投げ縄選択 — フリーハンドで囲んだ範囲の区画を一括選択
- 筆界未定地フィルタ — 境界未確定の土地を抽出表示
- ドロー取り込み — 選択区画をOH3のドロー機能に取り込み
出力形式
SIMA(簡易/詳細) / DXF(2D/3D) / Shapefile / GeoJSON(通常/融合) / KML / CSV
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → 筆界調査データベース → 2025登記所地図
詳細な使い方は2025登記所地図ガイドをご覧ください。
全国地番図公開マップは、全国の有志が開示請求で取得した地番図データや、自治体が公開するオープンデータを集約したプラットフォームです。市区町村ごとに地番図を閲覧でき、コメント機能で地域の境界情報を共有できます。
データの由来
- 開示請求 — 全国の有志が法務局等に開示請求して取得した地番図
- オープンデータ — 自治体が公開している地番図データ
- ユーザー投稿 — GeoJSON形式で誰でもデータを投稿・公開可能
主な機能
- 市区町村単位の閲覧 — 自治体ごとに地番図データを表示
- コメント・返信 — 地域の境界情報についてディスカッション
- 区画情報 — 面積・周長・境界点数の概算値を表示
- 登記所地図との重ね合わせ — 両レイヤーを重ねて比較可能
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → 筆界調査データベース → 全国地番図公開マップ
詳細な使い方は全国地番図公開マップガイドをご覧ください。
データの信頼性について
ユーザー投稿データは公式データではありません。法的効力を持つ境界情報は公図や地積測量図で確認してください(地積測量図は備付がない場合もあります)。
AI物件調査は、地図上の地点をクリックするだけで、その周辺の多角的な情報を自動収集し、AIが総合的に分析したレポートを生成する機能です。不動産の現地調査の事前準備やデスクリサーチに活用できます。
測量実務者向けの座標情報
AI物件調査レポートには、クリックした地点の平面直角座標系の座標値(X座標・Y座標)が自動計算されて表示されます。該当する座標系(第○系)も自動判定されるため、測量計画の参考情報として活用できます。
AI解説のカスタマイズ
AI物件調査では、収集したデータに対するAI解説のON/OFFを切り替えられます。また、追加プロンプト機能により「投資用不動産として評価して」「子育て世帯向けに解説して」など、目的に応じた分析を依頼できます。
使用方法
▶ 右側ツールボタン → AI物件調査
詳細な使い方はAI物件調査ガイドをご覧ください。
日本の測量・登記で使われる平面直角座標系は、国土を19の区域に分けてそれぞれに座標原点を設定した座標系です。土地家屋調査士が地積測量図を作成する際、この座標系を使用します。OH3では画面中心の座標系と座標値を常に確認できます。
OH3の座標表示機能
OH3では以下の方法で座標情報を確認できます。
- 画面中心情報 — 右側ツールボタンの「ℹ️」で、画面中心の座標系・JDP座標・WGS84座標を表示
- AI物件調査 — クリック地点の平面直角座標を自動計算
- 求積表インポート — 第1系〜第19系を選択して座標変換
基準点・水準点レイヤー
OH3では国土地理院の基準点(三角点・電子基準点)や水準点の位置を地図上に表示できます。測量の際の既知点として活用できます。
表示方法
▶ 座標系確認:右側ツールボタン → ℹ️(画面中心情報)
▶ 基準点表示:左上レイヤーアイコン → 基準点 → 三角点 / 電子基準点
土地評価は単なる価格査定ではありません。その土地でなにができるか、なにができないかを多角的に把握することです。
- 用途地域で「どんな建物が建てられるか」がわかる
- 地価公示・地価調査で「土地の相場」がわかる
- 都市計画区域で「市街化を進める場所か抑制する場所か」がわかる
- 農振地域(青地・白地)で「農地転用ができるか」がわかる
- 登記所地図・地番図で「筆界と精度」がわかる
- ハザード情報で「災害リスク」がわかる
- 座標系・基準点で「測量の基礎」がわかる
OH3はこれらの情報を一枚の地図上に重ねて表示できます。用途地域と地価公示を重ね、ハザード情報と照らし合わせ、航空写真で実際の土地利用を確認する——そうしたレイヤーを重ねる行為そのものが土地を「読む」ということです。
土地家屋調査士の方には、求積表インポートや座標系表示が実務の補助ツールとして役立つでしょう。不動産業者の方には、AI物件調査が現地調査の事前準備を効率化するでしょう。それぞれの立場で、OH3を活用していただければ幸いです。
OH3を開いて土地を読み解く