一括表示クイックスタート
左上レイヤーアイコン → マイセット → ハザードマップセットで、主要な防災レイヤーをワンクリックで一括表示できます。この特集では、そこに含まれる7つのデータがどこで作られ、どう加工され、OH3の地図上に届くのかを解説します。
過去に発生した津波・洪水・土砂災害・地震・噴火などの教訓を後世に伝えるために建立された石碑やモニュメントの位置と碑文情報です。先人が「ここまで水が来た」「ここは危ない」と身をもって記録した、最も古い防災データとも言えます。
データの旅路
先人が石碑を建立(数十年〜数百年前)
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市区町村が碑の情報を国土地理院に申請
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国土地理院が審査・掲載
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GeoJSONで公開
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OH3が地図上に表示
この画面をOH3で開く →
国土地理院は2019年6月から自然災害伝承碑の地図記号を新たに制定し、地理院地図への掲載を開始しました。背景には、2018年の西日本豪雨で、過去に同様の災害があったことを示す碑が存在したにもかかわらず住民に知られていなかった、という反省があります。
この特集で自然災害伝承碑を最初に紹介するのは、防災の原点は「過去に何が起きたか」を知ることだからです。シミュレーションやリアルタイムデータは科学の力ですが、伝承碑は実際にそこで命を落とした人々が残した記録です。まず碑の場所を確認し、そのうえで以降のハザードマップを重ねて見ると、データの意味がより深く理解できます。
OH3独自の機能:色分け&絞り込み
国土地理院の原典データでは伝承碑はすべて同じ地図記号で表示されますが、OH3では災害種別ごとに色分けして表示します。地図を見るだけで「この地域には津波の碑が集中している」「地震と土砂の碑が重なっている」といったパターンが一目でわかります。
レイヤー設定パネルでは2つの絞り込み方法が使えます。
- 色チップフィルター — 災害種別のチップをクリックすると、地図上の碑がその種別だけに絞り込まれます。複数のチップを同時に選択して「津波+地震」のように組み合わせることも可能
- テキスト検索 — 碑名・災害名・所在地・伝承内容をまとめて全文検索。該当する碑がリスト表示され、クリックで地図上にジャンプします
チップフィルターとテキスト検索は同時に使えるので、たとえば「津波チップON+検索欄に三陸」と入力すれば、三陸地方の津波伝承碑だけを抽出できます。
先人の声を聞く
たとえば三陸海岸には「此処より下に家を建てるな」と刻まれた石碑が点在し、実際にその碑より上の集落は2011年の東日本大震災でも津波被害を免れたケースがあります。伝承碑レイヤーを洪水浸水想定や津波浸水想定と重ねると、過去の災害と現代の想定が一致する場所が見えてきます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 自然災害伝承碑
碑のアイコンをクリックすると、碑名・災害種別・碑文などの詳細が表示されます。フィールドワークの事前調査にも活用できます。
河川が氾濫した場合に、どこが・どれくらいの深さまで浸水するかをシミュレーションした結果です。全国の一級河川・二級河川について、河川管理者(国土交通省・都道府県)が水防法に基づいて公表しています。
データの旅路
河川管理者が浸水シミュレーション実施
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国土交通省「国土数値情報 A31a」として整備
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GML/シェープファイルで公開
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OH3がPMTilesに変換して高速配信
この画面をOH3で開く →
水防法第14条は、洪水予報河川と水位周知河川について浸水想定区域の指定・公表を河川管理者に義務付けています。シミュレーションでは、堤防の決壊位置を数百メートルごとに変えながら、それぞれの場合の浸水域・浸水深を計算。その最大包絡(すべてのシナリオで最も深くなる結果)が「想定最大規模」として公表されます。
浸水深の凡例
0.5m未満
0.5〜3m
3〜5m
5〜10m
10〜20m
20m以上
「0.5m未満」は床下浸水レベル、「3m」は1階天井に達するレベル、「5m以上」は2階以上への避難が必要なレベルです。色が濃いほど深刻な浸水を示します。
OH3独自の機能:河川別フィルタ
レイヤー設定パネルで特定の河川を選択し、その河川だけの浸水想定を表示できます。また、暖色系(黄→赤→紫)と寒色系(水色→青→紺)の2種類のカラーモードを切り替えられます。
3D浸水深表示
3Dモード(Ctrl+ドラッグで地図を傾ける)では、浸水深に応じた高さで浸水域が立体表示されます。ビルの高さと浸水深を直感的に比較できます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 洪水浸水想定区域
想定最大規模と計画規模を切り替え可能。ポリゴンをクリックすると、河川名・浸水深・シナリオの詳細が表示されます。
洪水浸水想定が「最悪ケース」の一枚絵であるのに対し、多段階浸水想定は複数の降雨シナリオ(100年に1回・200年に1回…)を段階的に表示できるデータです。「最悪ではないがありえるケース」を知りたいときに役立ちます。
データの旅路
河川管理者が複数の降雨パターンでシミュレーション
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国土交通省「国土数値情報 A53」として整備
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OH3がPMTilesに変換して配信
水防法の2015年改正で、従来の「計画規模」に加えて「想定最大規模」の浸水想定区域の公表が義務化されました。さらに、国土交通省はその中間的な確率規模も含めた多段階の浸水想定を整備し、段階的なリスク把握を可能にしました。
降雨パターンの切り替え
レイヤー設定パネルで降雨の確率規模を切り替えられます。たとえば同じ河川でも「100年に1回の雨」と「1000年に1回の雨」では浸水範囲が大きく異なり、リスクの段階的な理解が可能になります。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 多段階浸水想定
レイヤー設定パネルで降雨パターン・河川を選択。通常の洪水浸水想定と重ねて比較すると、被害規模の幅を実感できます。
大規模な地震に伴う津波が発生した場合に、沿岸部がどこまで浸水するかをシミュレーションした結果です。OH3では3つのデータソースから津波情報を表示できます。
データの旅路(全国版)
都道府県が津波シミュレーション実施
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ハザードマップポータルサイトがラスタータイルで配信
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OH3が直接参照して表示
データの旅路(3D版:南海トラフ・北海道沖)
国の被害想定委員会がシミュレーション
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国土数値情報 A40-2023 として整備
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OH3がPMTilesに変換し3D立体表示
南海トラフ巨大地震
政府の地震調査委員会は、南海トラフでM8〜9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率を70〜80%と評価しています。OH3の3D津波レイヤーでは、太平洋沿岸の浸水想定域が立体的に表示され、津波高と建物の高さを比較できます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 津波浸水想定(2D)
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 津波浸水想定3D / 南海トラフ津波3D(3D)
3D表示はCtrl+ドラッグで地図を傾けると効果的。浸水深に応じた高さが現れます。
崖崩れ・土石流・地すべりの危険がある区域を示すデータです。都道府県が現地調査と地形分析に基づいて指定し、「土砂災害防止法」に基づいて住民に公表しています。
データの旅路
都道府県が現地調査・地形分析
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土砂災害防止法に基づき区域指定
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ハザードマップポータルサイトがラスタータイルで配信
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OH3が直接参照して表示
この画面をOH3で開く →
土砂災害防止法(2001年施行)は、都道府県に対して基礎調査の実施と警戒区域の指定を義務付けています。調査では、傾斜度30度以上の急傾斜地、土石流の流出路となる渓流、地すべり地形が認められる区域を対象に、地形・地質・土地利用を評価します。
イエローゾーンとレッドゾーン
- イエローゾーン(警戒区域) — 災害が発生した場合に住民の生命・身体に危害が生ずるおそれのある区域。警戒避難体制の整備が義務付けられる
- レッドゾーン(特別警戒区域) — 建築物が損壊し住民に著しい危害が生ずるおそれのある区域。特定開発行為の許可制・建築物の構造規制・移転等の勧告の対象
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 土砂災害警戒区域
土石流危険渓流・急傾斜地崩壊危険箇所・地すべり危険箇所もそれぞれ個別にオン/オフ可能です。重ねて表示すると、複合的な土砂災害リスクが把握できます。
ここまでのレイヤーが「過去の記録」や「事前に想定されたリスク」を示すのに対し、キキクルは今まさに降っている雨から計算されたリアルタイムの危険度を表示します。気象庁が10分ごとに更新する、最も「今」に近い防災情報です。
データの旅路
全国のアメダス・レーダーが降水量を観測
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気象庁が土壌雨量指数等を計算
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1km/250mメッシュで5段階の危険度を判定
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OH3がタイルを取得してリアルタイム表示
「キキクル」という名称は2022年に公募で決定しました。正式名は「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」等で、気象庁が土壌雨量指数(土砂災害)・表面雨量指数(浸水害)・流域雨量指数(洪水)をリアルタイムで計算し、過去の災害発生時の指数値と比較することで危険度を5段階に判定しています。
5段階の危険度
注意
警戒
危険
災害切迫
極めて危険
「災害切迫」が出たら
黒い「災害切迫」は、その地点ですでに災害が発生しているかもしれない状況を示します。避難指示が出ていなくても、命を守る行動を最優先にしてください。キキクルは避難のタイミングを判断する上で最も直接的な情報源です。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → キキクル(危険度分布)
土砂災害/浸水害/洪水の3種類をレイヤー設定パネルで切り替え。タイムスライダーで時間を遡ることもできます。大雨の日に実際に表示してみると、更新されていく様子が体感できます。
災害が発生した際に住民が緊急に避難する場所として、各市区町村が災害対策基本法に基づいて指定した施設・場所です。災害の種類ごと(洪水・津波・土石流など)に個別に指定されています。
データの旅路
市区町村が施設を調査・指定
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国土地理院に報告
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国土地理院がデータ整備・公開
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OH3がPMTilesで配信
この画面をOH3で開く →
「指定緊急避難場所」と「指定避難所」は異なる概念です。緊急避難場所は災害の危険から命を守るために緊急的に避難する場所(公園・高台など)、避難所は災害後に一定期間生活する場所(体育館・公民館など)です。OH3では災害種別ごとに避難場所を表示できます。
災害種別ごとのフィルタ
同じ施設でも、洪水の避難場所としては指定されているが津波の避難場所としては指定されていない、というケースがあります。OH3では洪水用・津波用・土石流用のレイヤーを個別に表示でき、自分が備えるべき災害に合った避難場所を確認できます。
表示方法
▶ 左上レイヤーアイコン → ハザードマップ等 → 指定緊急避難場所
洪水・津波・土石流の各避難場所を個別にオン/オフできます。浸水想定レイヤーと重ねて表示すると、「自宅の浸水リスクに対して最寄りの避難場所はどこか」が一目でわかります。
この7つのレイヤーに共通するのは、すべてが税金で作られた公的データであるということです。
- 自然災害伝承碑は、先人が石に刻んだ教訓を国土地理院が地図記号にしたもの
- 洪水浸水想定は、国土交通省と都道府県が水防法に基づいてシミュレーションした結果
- 多段階浸水想定は、同じデータを複数の確率規模で段階化した応用版
- 津波浸水想定は、都道府県と国の委員会が巨大地震を想定して算出した結果
- 土砂災害警戒区域は、都道府県が現地を歩いて調査し、法律に基づいて指定した区域
- キキクルは、気象庁が全国のアメダスとレーダーから10分ごとに計算するリアルタイム情報
- 指定緊急避難場所は、各市区町村が災害対策基本法に基づいて指定した避難先
これらはすべて「自分の住む場所のリスクを知る権利」を保障するために整備されたデータです。OH3はそれらを一枚の地図上に重ね合わせ、複合的なリスクを可視化します。洪水浸水想定と土砂災害警戒区域を同時に表示し、伝承碑で過去の災害を確認し、避難場所までの経路を考える——そうしたレイヤーを重ねる行為そのものが防災の第一歩です。
OH3にはこれらの防災レイヤーをAIが自動で読み取って総合診断する機能もあります。指定した地点・範囲の洪水・津波・土砂災害・高潮のリスクを、人口密度や高齢者率と掛け合わせて分析し、レポートを出力します。
使い方
▶ 右側ツールボックスアイコン → AI防災リスク診断
地点クリック・フリーハンド・円形・ポリゴンの4つの方法で範囲を指定。PDF・テキストでレポートをエクスポートできます。防災訓練シミュレーションモードも搭載。
詳しくはAI防災リスク診断のガイドページをご覧ください。
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